離婚しようと思うけど、経済的にやっていけるか不安に思ったことはありませんか?
もちろん収入やある程度の貯金がなければ、離婚に踏み切るのはおすすめしません。ただし、離婚後の生活を考える上で知っておいてほしいことがあります。
それが、自治体による公的支援です。
実は自治体による公的支援には手当だけでなく、就労支援など数多くの支援制度が存在することをご存じでしょうか?
そこで今回は、シングルマザーが使える公的支援について当店が所在する愛媛県松山市を例に取り上げます。
残念ながら日本の福祉サービスは申請主義なので、公的支援は使う側が申請しなければ使えない仕組みなんですよね。
公的支援を把握しておけば、離婚後の生活設計に役に立つこと間違いなし!ぜひこの記事を参考にしていただけたらと思います。
子どもがいる場合にもらえる手当
まずは、お子さんがいる場合にもらえる手当についてご紹介します。
ひとり親家庭がもらえる手当
ひとり親家庭がもらえる手当には「児童扶養手当」があります。いわゆる「母子手当」ですね。
児童扶養手当は、父母が離婚したり亡くなってしまった場合に生活の安定をはかるために支給されるものですが、母児家庭に限らず父子家庭や祖父母が養育している場合でも受給することができます。
児童扶養手当は所得に応じて支給額が変わります。
全部支給(月額) | 44,140円 |
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一部支給(月額) | 10,420円~44,140円 |
※参照:児童扶養手当(愛媛県松山市)
※2023年4月現在(物価スライド制の適用による改定あり)
※対象児童の人数によって加算あり
また、児童扶養手当の受給には所得制限があり、上限を超えると支給停止となります。ひとり親だからといって必ずしももらえるわけではありません。
なお、自治体によっては児童扶養手当の他に「児童育成手当」があるところもあります。詳しくは自治体の窓口におたずねください。
ひとり親以外でももらえる手当
児童扶養手当は基本的にひとり親家庭がもらえる手当であるのに対し、次の手当は条件さえ合えばひとり親に限らず申請することができます。
児童手当 | 中学校修了までの児童(15歳に達する日以後の最初の3月31日まで) |
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障害児 福祉手当 | 20歳未満で常時介護が必要であり、身体障がいや知的障がいをもつ児童 |
特別児童扶養手当 | 20歳未満で、身体または精神に障がいのある児童を監護する父、母または父母に代わってその児童を養育している人 |
これらの手当は離婚前からすでに受給している場合もあるかと思いますが、離婚によって受給条件を満たすようになった、または振込先が変更になったという場合は手続きが必要です。
例えば離婚前は夫の口座に振り込まれていたけれど、離婚によって妻側が子どもを引き取る場合、振込先の変更手続きを忘れないようにしてくださいね。
医療費助成
保険診療による医療費の自己負担は原則3割負担(未就学児は2割負担、70歳以降は1割~3割負担)ですが、自治体によってはこれらの自己負担分の医療費を補助する「医療費助成」の制度があります。
では、ひとり親家庭で使える医療費助成制度はあるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
ひとり親家庭医療費助成
離婚などによってシングルマザー(またはシングルファーザー)になってしまった場合、自治体からひとり親家庭の医療費助成を受けられることがあります。
例えば松山市の場合では、以下に該当する方は保険診療による入院・通院について医療費の自己負担の助成を受けられます。
- ひとり親家庭の母もしくは父と子
- 祖父母と孫などひとり親家庭に準ずるもの
- 父母のいない子
※参照:ひとり親家庭医療費助成(松山市)
ただし、ひとり親家庭の医療費助成にも所得制限はあるので、詳しくは自治体の窓口にお問い合わせください。
子ども医療費助成
最近はどこの自治体でも、子どもの医療費助成を実施しているのをご存じでしょうか?
特に松山市の場合、子どもが0歳から中学3年生まで(15歳到達年度の3月31日まで)が子ども医療費助成の対象です。
そのためひとり親家庭の医療費助成には該当しなくても、お子さんの医療費についてはそこまで心配しなくてもいいでしょう。
ちなみに、医療費助成があれば医療費の負担はそこまで心配ないとはいえ、子どもの医療保険がまったく必要ないのか?といえばそうではありません。
たとえば、お子さんの看病のために仕事を休むことになると収入に影響してくることも。
特にシングルの方はパートナーに入院の付き添いをお願いすることができないため、親の収入補償の観点からお子様の医療保険に加入した方がいいケースもあるんですよね。
もし、お子さまの医療保険で迷っているようでしたら、まずは家計屋本舗まで一度ご相談いただけたらと思います。
子育て支援
ひとりで子どもを育てるというのはとても大変なこと。
そこで、ひとり親家庭や所得に応じて利用できる子育て支援をご紹介します。
ひとり親家庭が受けられる子育て支援
ひとり親家庭が利用できるサービスに「ひとり親家庭日常生活支援事業」があります。
ひとり親家庭日常生活支援事業とは、修学等や病気などの事由により、一時的に生活援助が必要な場合に家庭生活支援員を派遣してもらえるというもの。
民間のヘルパーさんとは異なり、自治体が行う福祉サービスのため、利用料金もかなり抑えられているんですね。
この事業は自治体によっては未実施のところもありますが、もし利用できる場合は必要に応じて利用してみてはいかがでしょうか?
また認可保育園やこども園の保育料に関しては、離婚調停中から減額できる場合があるので要チェックです。
ひとり親以外でもOK!の子育て支援制度
ひとり親家庭以外でも所得に応じて使える制度があります。こちらもチェックしておきましょう。
たとえば松山市の場合、以下のような制度があります。
- ファミリー・サポート・センター(育児)
- イクじいばあばママサービス(送迎や預かり)
- 就学援助制度
- 放課後児童クラブ保護者負担金助成制度
- 松山市子どもの学習支援事業「松山こども塾」
- 高等教育の就学支援新制度
中には、児童扶養手当の受給者なら利用料の割引を受けられることも。児童扶養手当はこういったところにも影響があるので、もし該当する方は忘れずに申請しておきたいものです。
就労支援
離婚するにあたって、就職・転職したいけれど資格がなくて難しい。そんな場合は自治体の助成制度を調べてみてはいかがでしょうか?
例えば松山市なら以下のような事業があります。
- 母子家庭等自立支援教育訓練給付支給事業
- 松山市資格取得等助成金
- 松山市若年者職業訓練奨励金
- 母子家庭高等職業運練促進給付金等支給事業
- 愛媛県ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
- ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援給付金事業
- 母子・父子自立支援プログラム策定事業
経済的な自立に向けて何か資格を取得しようか考えているなら、ぜひ検討してみてくださいね。詳しくは自治体の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
減免・控除など
ここでは、ひとり親家庭だけが使える税金の控除や国民年金、国民健康保険の減免申請などをご紹介します。
ひとり親税控除
ひとり親家庭(未婚含む)では、「ひとり親控除」といって一定の金額の所得控除を受けることができます。
なお、ひとり親控除の適用を受けるには確定申告または年末調整で申請すればOKです。該当する方は忘れないようにしましょう。
参考:ひとり親控除(国税庁)
国民年金や国民健康保険の減免申請
国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが厳しい場合、減免の申請をすることができます。
特に離婚前は配偶者の扶養に入っていた(=国民年金第3号被保険者)けれど、離婚を機に国民年金第1号被保険者や国民健康保険に加入することになるという方。
そのような方は、保険料の支払いが一気に増えるので負担に感じることも。
しかしどんなに支払いが厳しい状況でも、将来もらえる年金のことを考えると未払いになることだけは避けたいものです。未払いになる前に必ず相談するようにしてください。
その他の公的支援
離婚した方が使える公的支援は他にもあります。ここではその他にも使える公的支援をご紹介します。
資金の貸付け
離婚後、どうしてもお金が足りない…
実はそんなときには自治体の福祉サービスによってお金を借りることができます。
例えば松山市では以下のようなときに資金の貸付けを行っているとのこと。
修学支度 | 児童が就学するために必要な被服等購入資金 |
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就職支度 | 就職するために必要な資金 |
転宅 | 住居の移転に際し必要な資金(※移転前に限る) |
もちろん、これらはあくまでも給付ではなく「貸付」であり、後から返済する必要があります。そのため無計画に借りることはおすすめしません。
ただし、本当に困ったときにはこういった手段もあるということは覚えておくといいでしょう。
市営住宅や県営住宅
別居するにあたって住むところに困っている場合、市営住宅や県営住宅に申し込むというのもひとつの選択肢です。
特に収入や資産が少ないと大家さんが貸してくれないことも多く、借りられる物件に困ってしまうことも。そんな場合は市営住宅や県営住宅を検討するといいでしょう。
ただし市営住宅や県営住宅には入居に審査があります。収入や資産が多いと入居できないですし、条件を満たしていたとしても最終的には抽選なので、必ず入居できるわけではありません。
ですが、住むところに悩んでいるならこういった選択肢も頭に入れておいてください。
JRで割引を受けられる
児童扶養手当を受給している世帯では、JRの通勤定期乗車券を購入する際に割引を受けられる制度があります。
もし該当するようなら、ぜひ使ってみることをおすすめします。
離婚する前にファイナンシャルプランナーに相談してみませんか?
今回はひとり親家庭が利用できる公的支援についてご紹介しました。これらの公的支援を活用すれば、離婚後の家計の負担も少しは軽減されることでしょう。
しかし、離婚後の生活設計の見通しが立つ前に離婚を急ぐのは正直おすすめできません。
重要なのは「月にいくら収入があれば暮らしていけるか?」を事前に計算してみること。経済的な見通しが立つ前に離婚の話を切り出すのはNGです。
「やっぱり離婚しなければよかった…」とならないように、しっかり準備していきましょう。
なお、家計屋本舗では離婚のご相談も承っております。
当店のスタッフは全員がシングルマザーなので、離婚に向けた生活設計だけでなく、夫婦関係のお悩みや関係修復に向けたアドバイスなどにもお力になれることでしょう。
また、必要であれば弁護士などの専門家もご紹介させていただきます。離婚を考えているなら、まずは一度お問い合わせくださいね。