火災保険は建物が火災の被害にあった場合に保険金がおりるタイプの保険です。では「地震」が原因で起こる火災の場合はどうでしょうか?
実は、地震が原因の火災は「火災保険の補償対象外」なのです。
「実は火災保険に入っていれば、保険がおりると思っていた」と勘違いしたままだと、災害リスクに備えられないばかりか、住宅ローンなど多額の負債を抱えてしまうことも・・・
そこで今回は、火災保険だけでなく地震保険も必要な理由について解説します。
なお、当店では保険のプロでもあるファイナンシャルプランナーが保険の相談にもお応えしております。保険への加入を検討している方や保険を見直してみたい方はぜひ一度ご相談ください。
地震による火災だと火災保険はおりない
「うちは火災保険に入っているから大丈夫」と安心している方へ。
実は同じ火災でも地震が原因の場合、火災保険の補償対象外ということをご存じでしたか?
火災保険だけ入っていれば安心とはならない理由について、火災保険と地震保険の違いをふまえて解説したいと思います。
同じ火災でも保険がおりない理由
火災保険では保険がおりない理由は、そもそも火災保険と地震保険がカバーする「リスク」が異なるからです。
火災保険 | 地震保険 |
---|---|
火災で建物が消失した場合 | 「地震」による火災で建物が消失した場合 |
もし、すでに入られている火災保険があれば今すぐ保険証券を確認してみてください。約款には「地震は対象外」と書かれているはずです。
火災保険は名称に「火災」とつくからこそ、地震による火災まで補償されると勘違いしやすいのでこの際に覚えておいてくださいね。
噴火や津波の被害も火災保険の対象外
ちなみに火災保険は地震による火災だけが対象外なだけでなく、噴火や津波、土砂崩れも対象外となっています。
火災保険 | 地震保険 |
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台風による暴風雨で窓ガラスが割れた 水害の影響で床上浸水してしまった | 地震による土砂崩れで被害を受けた 地震による津波の被害を受けた |
火災保険自体、火災だけでなく風災や水災など幅広くカバーしているものの、日本で起きる災害の種類を考えるとそれだけでは不十分。
「地震保険にも入っておけばよかった!」と後悔する前に地震保険も検討しておきましょう。
火災保険だけでは「家財」も同じように対象外
地震で建物に被害がなくても、揺れがひどいと家財に被害が出る場合もあります。
その場合も火災保険で家財の補償に入っているだけでは補償の対象にはなりません。地震保険で家財を対象とする補償に入っておく必要があります。
ちなみに家財の被害は以下のように判定されます。
損害額 | 保険金※① | |
---|---|---|
全損 | 家財全体の時価額の80% | 地震保険の保険金額の100% |
大半損 | 家財全体の時価額の60%以上80%未満 | 地震保険の保険金額の60% |
小半損 | 家財全体の時価額の30%以上60%未満 | 地震保険の保険金額の30% |
一部損 | 家財全体の時価額の10%以上30%未満 | 地震保険の保険金額の5% |
※① 保険金額は時価が限度
※2024年1月末現在
たとえばテレビが割れただけでは被害が認定されるわけではなく、全体の何%被害を受けたか?で損害額が判定される仕組みになっています。
もし家財の補償も必要であれば、建物の補償だけでなく家財の補償もつけておくようにしましょう。
地震保険に入っていないとどうなる?
ここで、地震保険に入っていないとどのような自己負担が発生するのか?3つのケースをご紹介します。
- 建物の修繕・再建費用が足りない
- 住宅ローンの支払いは残る
- 公的支援はあるが圧倒的に足りない
1.建物の修繕・再建費用が足りない
地震で建物の倒壊は免れても火災の被害に遭ったら火災保険はおりないことはお伝えしてきました。
そんな中で建物を修繕・再建するとなると「自己資金から出す」「新たに住宅ローンを組む」のどちらかになります。
実際2016年の熊本地震では多くの家屋が損壊しましたが、全被害者が適切な保険に加入していたわけではなく、復旧費用の自己負担が重大な問題となりました。
家が住めない状態なのに住宅ローンは残る
ところで住宅ローンが残っている状態で被災した場合、住宅ローンの支払いってどうなるかご存じでしょうか?
返済が免除になる?いいえ、もちろんそんなことはありません。当然ですが住宅ローンの支払いは残ります。
もし建物を建て直すのに新たに住宅ローンを組んだとすると「二重ローン」になりますが、果たして返していける自信はありますか?
ここで自信を持って「返していける」といえるなら地震保険は不要でしょう。しかし、ほとんどの方にとって二重ローンは家計の負担になるかと思います。
ちなみに地震保険の保険金は使い道が決められているわけではありません。保険金で建物を直してもいいですし、住宅ローンの返済に充てて賃貸へ引っ越してもOK!
いずれにせよ地震保険の保険金があれば、被災後の生活再建も助かることでしょう。
公的支援だけでは足りないのが現実
ちなみに国や自治体からの公的支援がないわけではありません。地震のような大規模災害のときは以下のような公的支援が用意されています。
被災者生活再建支援制度 | 災害により居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金を最大で300万円支給する制度 |
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災害援護資金 | 災害により負傷又は住居、家財の損害を受けた方に対して、生活の再建に必要な資金を貸し付ける制度 |
災害復興住宅融資(建設) | 自然災害により被害が生じた住宅の所有者又は居住者で、地方公共団体から「罹災証明書」を交付されている方が、住宅を建設する場合に受けられる融資制度 |
公営住宅への入居 | 低所得の被災者の方は、都道府県又は市町村が整備する公営住宅に入居することができる |
住宅の応急修理 | 災害救助法に基づき、住宅の屋根、外壁、建具(窓や玄関)等に損傷があり、ひとたび雨が降れば浸水を免れない世帯でかつ自治体から準半壊以上(相当)と判断された世帯に対して、 ① ブルーシート、ロープ、土のう等の資材の現物給付 ② 修理業者・団体によるブルーシート展張等の修理の提供 のいずれかを支援する制度(災害発生日から10日以内) |
参照:被災者支援に関する各種制度の概要(内閣府)
※2024年1月現在
ですがこれらの公的支援も、生活を立て直すための最低限の費用です。現実問題、地震発生時の政府や地方自治体の支援は限られており、全ての損害をカバーできるわけではありません。
そのため地震保険に加入していないと、地震による家屋や財産の損害に対して、政府や自治体の支援に依存せざるを得なくなり、その支援が限られている場合、大きな経済的負担を強いられる可能性があります。
特に地震リスクの高い日本では、保険に加入していないことはリスクが高い行為です。そもそも地震保険こそが国が用意した「公的支援の一つ」であると理解し、必要な方は入っておくことをおすすめします。
火災保険を見直す際の3つのチェックポイント
最後に、地震へのリスクを踏まえた「火災保険の見直しポイント」についてご紹介します。
すでに火災保険に入られている方だけでなく、これから火災保険に入ろうと思っている方も参考にしてみてください。
見直しポイントは以下の3つです。
- 地震保険を付帯しているか?
- 保険金額の設定額は適切か?
- 評価額は「時価」の設定になっていないか?
それぞれ詳しく見てみましょう。
チェックポイント①地震保険がついているか?
1点目は「地震保険がついているか?」です。
そもそも地震保険は単独で加入することができず、火災保険とセットで加入しなければなりません。
なお、地震保険はどこの保険会社から加入しても同じなので、今入られている火災保険があるなら地震保険もついているか?確認してみてください。
チェックポイント②保険金額の設定は適切か?
2点目は「保険金額の設定は適切か?」です。
地震保険の保険金額は火災保険の半分なので、そもそも火災保険で設定している保険金額が適切か?チェックする必要があります。
ここで、保険金額を低めに設定していた方は要注意!保険金額を低く設定するほど保険料は安く済みますが、十分な補償を受けられない可能性があります。
さらに地震保険は最大でもそこから半分になってしまうので「こんなはずでは・・・」となってしまうことも。
後悔することがないように、火災保険を見直す際は保険金額についても必ずチェックするようにしてください。
チェックポイント③契約が「時価評価」になっていないか?
3点目は「時価評価になっていないか?」です。
そもそも火災保険の保険金額は「建物の評価額」によって決まります。ではどのように評価しているか?というと「時価」と「再調達価額(新価)」の2種類があります。
時価 | 再調達価額から年数の経過や使用による消耗分を差し引いた額で計算する |
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再調達価額(新価) | 現時点で建て替えた場合にかかる費用で計算する |
万が一にしっかり補償を受けられるようにするには「再調達価額(新価)」を選びましょう。
ちなみに最近契約された方は再調達価額の設定になっていることが多いのですが、昔に契約した内容だと「時価」のままになっていることが多く、そうすると今の費用で建て直すには費用が足りないことも。
もちろん「ただ心配だから」といった理由でどんどん補償を増やしてしまうと、当然ですが保険料は高くなってしまいます。
ですが火災保険や地震保険は失うとダメージが大きいリスクに対してカバーしているもの。
ここはしっかりかけた上で、保険料が負担に感じるなら他に節約できる支出はないか?家計の他の支出項目を見直してみるなどトータルで考えてみることをおすすめします。
当店で保険の見直しをしてみませんか?
今回は、火災保険だと地震のときには使えない理由について解説しました。
地震はいつ・どこで起こるかわかりません。地震保険の加入がまだなら、今すぐ見直してみてください。その際には火災保険もあわせてチェックしておくことをおすすめします。
とはいえ、火災保険の補償内容は現状に対して適切か?わかりづらいもの。
もし火災保険の見直しでお困りでしたら、ぜひ当店までご連絡ください。当店では複数の保険会社を取り扱っておりますので、その中からお客様にぴったりの保険をご紹介させていただきます。
なお、保険相談はご予約制となっておりますので、相談をご希望の方はこちらのボタンからご連絡ください。