賃貸 vs 持ち家、どっちがお得?生涯コストを比較してみた結果

そろそろマイホームを買いたいなと考えているけれど、賃貸の方がいいって話も聞くし、どっちがいいんだろう・・・

このようなことを考えたことはありませんか?

マイホームを買った方がお金がかかると思われがちですが、「生涯のトータルコスト」で見ると実はそこまで変わりません。

もちろん「誰もがマイホームを買っても大丈夫」というわけではなく、身の丈にあわない物件を購入してしまうと家計が破綻してしまうことも。

では、賃貸と持ち家ならどっちがお得なのでしょうか?今回はお金の専門家であるファイナンシャルプランナーが解説します。

賃貸・持ち家の比較シミュレーション

賃貸と持ち家、どちらの方がお得なのか?ここでは経済面を比較してみました。

賃貸で過ごす場合のコスト

賃貸にかかる費用は以下のとおりです。

  • 家賃
  • 更新料
  • 火災保険料
  • 敷金・礼金・仲介手数料
    (※入居時のみ)

例えば、30歳から65歳までの35年間を賃貸で過ごすケースをシミュレーションしてみましょう。

条件はファミリー向けの物件で月々の家賃が8万円、更新料が2年ごとに家賃の1ヶ月分発生するとしてコストを計算してみました。

家賃3,360万円
(8万円×12ヶ月×35年=3,360万円)
更新料(2年ごと)136万円
(8万円×17回=136万円)
火災保険料等35万円
(年間1万円×35年間=35万円)
総コスト3,531万円

※この他途中で引っ越すなら敷金・礼金・引っ越し費用などがかかります。

シミュレーションの結果、30歳から65歳まで賃貸で生活する場合のコストは3,531万円となります。

持ち家を購入す場合のコスト

マイホームを購入した場合にかかる費用は以下のとおりです。

  • 住宅ローンの返済
  • 諸費用
    (仲介手数料・登記費用など)
  • 固定資産税
  • 火災保険料等
  • メンテナンス代・修繕費用

例えば、30歳のときに3,000万円の物件を購入したとします。

諸費用は貯金から捻出し、物件の購入価格3,000万円は住宅ローン(金利2%・返済期間35年)で借りて支払った場合のコストをシミュレーションしてみました。

物件価格3,000万円
(住宅ローンの総返済額は約4,174万円)
諸費用150万円
(目安として物件価格の5%)
固定資産税455万円
(年間13万円×35年)
メンテナンス代・修繕積立金600万円
(10年ごとに計3回外壁・屋根塗装を実施)
火災保険料等140万円
(20万円×5年ごと更新)
総コスト5,519万円

※この他マンションの場合は管理費や駐車場代などがかかります。

シミュレーションの結果、30歳でマイホームを購入し65歳まで住宅ローンを返済する場合のコストは5,519万円となります。

賃貸 vs 持ち家の「生涯コスト」を比較

30歳~65歳までの35年間だけを比較すると、賃貸で過ごす方が圧倒的にお得であることがわかりました。

賃貸のコスト3,531万円
持ち家のコスト5,519万円

しかし、マイホームの住宅ローン完済後の「65歳以降のコスト」を含めるとどうでしょうか?次のような条件で、65歳~90歳までのコストをシミュレーションしてみました。

  • 賃貸はコンパクトな物件(家賃6万円)へ引っ越す
  • 持ち家はそのまま住み続ける

賃貸の場合(65歳~90歳まで)

家賃1,800万円
(6万円×12ヶ月×25年=1,800万円)
更新料(2年ごと)72万円
(6万円×12回=72万円)
火災保険料等25万円
(年間1万円×25年間=25万円)
引越し費用
(敷金・礼金など含む)
62万円
(敷金礼金各1ヶ月分・引っ越し代50万円)
総コスト1,959万円

持ち家の場合(65歳~90歳まで)

固定資産税325万円
(年間13万円×25年)
メンテナンス代・修繕積立金400万円
(10年ごとに計2回外壁・屋根塗装を実施)
火災保険料等100万円
(20万円×5年ごと更新)
総コスト825万円

そうすると、最終的な生涯コストは以下のとおりです。

賃貸の生涯コスト3,531万円+1,959万円=5,490万円
持ち家の生涯コスト5,519万円+825万円=6,344万円

その差額はなんと854万円まで縮まりました!

しかも持ち家は資産として残るので、将来的に売却したり賃貸収入を得ることも可能です。

そうすると、この差もほとんどなくなると思いませんか?

もちろん、条件しだいではこのシミュレーション結果も変わります。

ただし今回の試算からもわかるように、長期的に見れば賃貸と持ち家の「コストの差はほぼない」といえるでしょう。

賃貸・持ち家のメリット・デメリット

ここで、賃貸と持ち家のメリットとデメリットを整理したいと思います。

賃貸持ち家
(メリット)
・引っ越ししやすい
・初期費用の低さ
・メンテナンス費用や固定資産税の負担がない
(メリット)
・資産として残る
・自由度が高い
・老後も住居を確保できるという安心感
(デメリット)
・長期的なコストが高くなることも
・資産として残らない
・自由度が低い
・高齢になると契約を断れられるケースも
(デメリット)
・すぐに引っ越せない
・初期費用が高い
・資産価値が残るかは物件による
・修繕費や税金は自己負担

賃貸のメリット

賃貸住宅は簡単に引っ越しが可能です。転勤や結婚、家族の増減など、ライフスタイルの変化に対応できる「柔軟性」があるといえるでしょう。

また、賃貸契約時にかかる初期費用は持ち家と比べてかなり少ないのもメリットです。

さらに借主はメンテナンス費用や固定資産税を考える必要がありません。というのも、賃貸ではこれらの費用が大家さんが負担してくれるからです。

もちろん毎月の家賃にはこれらの費用も含めた金額となっているため、間接的に払っているとはいえるかもしれません。

とはいえ、これらの出費はときに突発的に高額な金額となることもあるので、そういった意味では「家賃さえ払えばすべて対応してくれる」という安心感が賃貸にはあります。

賃貸のデメリット

賃貸のデメリットはなんといっても毎月家賃を支払い続ける必要があること。

特に老後も賃貸で過ごすとなると、入居期間によってはトータルコストが持ち家を上回る可能性があります。

また持ち家が資産として残るのに対して、賃貸では毎月の家賃を支払っても資産として残りません。

さらに賃貸はリフォームや改築、ペットの飼育などに制限がある場合が多く、自分の好みに合わせて住環境を整えることが難しくなります。

そして最近では、孤独死を避けるために高齢者が入居を断れられるというケースが社会問題となっています。

若いうちは「賃貸でいいや」と考えている人でも、老後の住居の確保は早めに考えておくといいですね。

持ち家のメリット

持ち家の最大のメリットは、資産として残ることが挙げられます。

住宅ローンを返済中は住居費の負担が重くなるものの、完済してしまえば負担が一気に下がり、年金生活になっても住居費の負担が少ないので楽に感じることでしょう。

また、自宅をリフォームしたり、ペットを飼ったりすることも自由にできるため、自分のライフスタイルに合わせて住環境を整えるのもOK!

気になる老後ですが、そのまま自宅に住み続けるのもよし、自宅を売却してその資金で住み替えたり老人ホームへ入居するのもよし。

この辺も自由に選択できるのが持ち家のメリットといえるでしょう。

持ち家のデメリット

持ち家の最大のデメリットは、すぐに引っ越せない・売却しようにも費用や手間がかかるなどの流動性が低いことが挙げられます。

特に何かあればすぐに引っ越したい方や将来的な転勤の可能性がある場合には、持ち家のデメリットが大きく感じられることも。

また、持ち家は購入時の初期費用が高かったり、住宅ローンの返済が家計の負担になったりすることもあります。修繕費用などはもちろん自己負担です。

そして「資産として残る」といえども、不動産市場の変動により資産価値が下がるリスクがある点は見逃せません。

特に今後も人口が減少していく日本では、持ち家が果たして資産としてどこまで残るか?という点はよく考えておきましょう。

【賃貸 or 持ち家】あなたはどちらが向いている?

賃貸と持ち家、どちらにもメリット・デメリットがあり、そして生涯かかるコストもそこまで変わらないとなると、結局どちらを選べばいいか?余計に迷ってしまいますよね。

では、どんな人が賃貸(持ち家)に向いているのでしょうか?考えてみたいと思います。

賃貸が向いている人

  • 引っ越しが多い人(転勤など)
  • 勤務先から家賃補助がある人
  • ライフスタイルに応じて部屋の広さを使いわけたい人

賃貸は気軽に引っ越せるというメリットがあるので、引っ越しが多い人やライフスタイルに応じて部屋の広さを使いわけたい人は賃貸がおすすめです。

また、勤務先から家賃補助などがある方も、生涯コストを低く抑えられる可能性があるので賃貸が有利!

ただし家賃補助は年齢制限を設けている会社もあるので、そういった方は家賃補助がなくなった段階でどうするか?考えておきましょう。

持ち家が向いている人

  • 部屋の広さがほしいファミリー世帯
  • 自由度がほしい(ペット・DIYなど)
  • 資産として残したい
  • 老後の安心感がほしい

そもそも賃貸物件にはファミリー向けの物件が少なく、部屋が狭く感じるのに家賃が高いケースも多いので、そういったファミリー世帯はマイホーム購入をおすすめします。

ただしマイホームを「資産」として残せるか?は、物件の立地や修繕状況にもよるので、購入前に修繕費用などもふまえた長期的な資金計画を立てるようにしましょう。

【賃貸・持ち家】それぞれの注意点を解説します

賃貸 or 持ち家は価値観で決めてOKですが、どちらを選ぶにしても気をつけなければならない点はあります。

ここでは2点ご紹介します。

【賃貸の場合】老後どう過ごすか?早めに考えておこう

賃貸の場合、老後をどう過ごすか?現役のうちから考えておきましょう。

老後は子どもが巣立った後だし「家賃の低いところに引っ越せばいいか」と考えるかもしれません。

しかし、高齢になってからの入居審査は通りにくいという問題があります。そのため、

  • 引っ越しをするなら早めに動く
  • 現金でコンパクトな家を買う
  • 介護サービス付きの高齢者向け住宅などに入居する

など、さまざまなパターンを考えておくといいでしょう。

ちなみに老後2000万円問題はあくまでも「持ち家がある」想定で計算された金額なので、賃貸派の方は2000万円より多く必要となるケースもあります。

関連記事:老後は年金だけでは暮らせないって本当?年金以外にいくら必要なのか計算してみた

【持ち家の場合】夢のマイホーム!でもオーバーローンは危険です

賃貸と比べて生涯コストはあまり変わらないなら「夢のマイホームを購入するか!」と考える方もいると思います。

しかし、予算オーバーの物件を購入してしまい、途中で住宅ローン破綻しては元も子もありません。

そのため、住宅ローンは最後まで払いきれるか?身の丈に合った物件を選ぶようにしましょう。

特に最近、日銀がマイナス金利解除を発表したこともあり、今後は住宅ローン金利も上がっていくことが予想されます。

住宅ローンを借りるときは予算オーバーしないよう気をつけましょう。

関連記事:金利上昇時には変動金利 or 固定金利どっちがおすすめ?

松山で住宅ローンのことを相談するなら「家計屋本舗」へ!

賃貸と持ち家は生涯コストで比較すると、思ったより差がないことがおわかりいただけたでしょうか?

そのため「うちは賃貸でいいと思っていたけれど、マイホームを考えてみようかな?」という方はぜひ前向きに検討してみてもいいと思います!

ただし、いきなりモデルルームへ行ってしまうと、どんどん予算がふくらんでしまうもの。

そこで、事前に住宅ローンの適正な予算について調べてみませんか?

なお、当店「家計屋本舗」では住宅ローン相談も行っております。モデルルームへ行く前にぜひ一度ご相談ください。

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