「確定拠出年金って退職金が出る人も始めた方がいいのだろうか?」
このようなお悩み、ありませんか?
確定拠出年金は退職金のあり・なしにかかわらず、将来に備えた資産形成という点で非常に有効な手段です。
ただし退職金のあり・なしによっておすすめの受け取り方法は変わるんですよね。
そこで今回は、確定拠出年金についてのご相談も承っている家計屋本舗が、
- 確定拠出年金と退職金の関係
- 退職金がある場合のおすすめの受け取り方法
- 退職金がない場合のおすすめの受け取り方法
について解説します。
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確定拠出年金は退職金の代わりって本当?
「確定拠出年金って退職金の代わりなんですか?」と聞かれることがありますが、基本的には「退職金の代わり」と考えていただいてかまいません。
というのも退職金制度は企業にとって負担が大きく、制度を廃止するところも出てきました。そこで導入されたのが「確定拠出年金」という制度なのです。
それに自営業の方には、そもそも退職金という制度がありません。そういった意味で確定拠出年金は、老後に備えるための資産形成ツールとして退職金の代わりと言っても過言ではないでしょう。
ちなみに確定拠出年金ができた背景はこちらの記事でも詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。
関連記事:確定拠出年金ができた背景
では、退職金をもらえるなら確定拠出年金ってやらなくていいと思いませんか?
実は退職金がある方でも、老後資金対策は必要だと考えます。
というのも最近は退職金制度を廃止 or 支給率を下げるところが増えてきており「老後資金は退職金+将来の年金で」と考えていると足りなくなる可能性も。
また、退職金制度って定年まで勤める人には有利な制度なのですが、途中で転職・退職する人にとっては不利な制度でもあります。
最近は転職する人も多いので、退職・転職時に資産を持ち運びできる確定拠出年金の方が実は有利な側面もあるんですね。
もちろん確定拠出年金は自分で運用していかなければなりませんし、途中で転職・退職した場合には移管手続きが必要です。
しかし退職金があまりあてにならない今、確定拠出年金を活用して退職金代わりの資産を作っていくことが非常に重要となっています。
確定拠出年金と退職金の共通点「税制優遇がある」
退職金の代わりといってもいい「確定拠出年金」ですが、受け取るときに税制優遇を使えるという共通点もあります。
そもそも確定拠出年金の受け取り方には、
- 一時金として受け取る
- 年金として受け取る
- 一時金+残りは年金で受け取る
この3通りから選べるのですが、一時金として受け取るときには退職金を受け取るときと同様に「退職所得控除」を使えるのです。
<退職所得控除とは?>
退職所得控除とは、退職金の額から一定の金額を控除できる所得控除のこと。勤続年数によって異なります。ちなみに計算式は以下のとおり。
勤続年数が20年以下の場合 | 退職所得控除額 = 80万円 + 40万円 ×(勤続年数 – 5年) (最低80万円) |
---|---|
勤続年数が20年超の場合 | 退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年) |
※確定拠出年金で使う場合は勤続年数を「加入期間」とする。
退職所得控除の額を算出したら、次にいくら税金がかかるか?以下の計算式に当てはめていきます。
<退職所得控除を使って受け取るときの計算式>
①以下の式で退職所得額を算出する。
退職所得=(退職金や一時金 – 退職所得控除)×1/2
②上記の計算式で出た「退職所得」に以下の税率をかける。
<退職所得の源泉徴収税額の速算表>
課税退職所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※この他に住民税10%と復興特別所得税2.1%が課税されます。
ここでお気づきの方もいるかもしれません。そう、退職所得控除の額が大きいと税金がかからない仕組みなのです。
これが確定拠出年金には「税制優遇があるのでお得」と言われているゆえんですね。
そもそも退職金は一度にまとまった金額を受け取るため、普通に計算するとたくさんの税金を払わなくてはなりません。
ただ退職金は大切な老後資金であることから、退職所得控除という特別な計算式を使うことになっているのです。
確定拠出年金を一時金で受け取るときも退職金と同じようにこの特別な計算式を同様に使えるので、うまく活用していきたいですね!
退職金のあり・なしで考える!確定拠出年金のお得な受け取り方法
確定拠出年金を一時金で受け取る場合、退職金を受け取るときに使える「退職所得控除」を使えるという点でメリットが大きいとお伝えしました。
しかし、ここで注意してほしいのが「退職金がある」場合。退職金がある方も確定拠出年金に加入できますが、注意すべき点があります。
そこで、退職金のあり・なし別の「確定拠出年金のおすすめの受け取り方法」をご紹介します。
退職金がある場合
まず、お勤め先に退職金制度がある場合。退職金制度があることは知っていても、実際にいくら受け取れるかまでは知らない方が多いです。
退職金の支給額によっては確定拠出年金の出口戦略も変わってくるので、退職金をいくらもらえるかわからない方は、いくら受け取れる見込みなのか?調べておきましょう。
その上で、
- 確定拠出年金と退職金を同時に受け取る場合
- 確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合
この2通りで分けて考える必要があります。
まず、確定拠出年金(一時金)と退職金を同時に受け取る場合。この場合は、一時金と退職金を合算して退職所得を計算します。
一時金+退職金 < 退職所得控除の額
となれば税金がかかりませんので同時に受け取ってOK!ただし、退職金がたくさん出る or 勤続年数(加入年数)が短いなどで控除の額が少ないなら
一時金+退職金 > 退職所得控除の額
となり、税金がかかってしまうことも。そのような場合は、年金で受け取った方がお得なこともあります。
確定拠出年金を「年金」で受け取ると公的年金控除を使えるので、
- 一部を一時金で受け取る+残りは年金で受け取る
- すべて年金で受け取る
といった方法も検討してみてください。
次に、確定拠出年金(一時金)と退職金とを別々の年に受け取った場合。一時金と退職金をどの順で受け取るか?で適用されるルールが変わります。詳しく見てみましょう。
<退職金 → 一時金の順で受け取る>
退職金を受け取った後、19年以内に一時金で受け取ると退職所得として合算されるというルールがあります(19年ルール)
確定拠出年金の受け取りは最大75歳まで延ばせます。たとえば55歳よりも前に退職金を受け取り75歳で確定拠出年金を一時金で受け取れば20年を超えているのでOKですが、そうでないと調整が入ってしまうので注意してください。
<一時金 → 退職金の順で受け取る>
先に確定拠出年金を一時金で受け取り、5年あけて退職金を受け取ると退職所得として合算されず、別々に計算されます。
逆に4年以内に退職金を受け取ると退職所得として合算されてしまうので注意しましょう。
このように退職金がある場合、確定拠出年金の受け取り方は受け取る時期や方法を慎重に考えないといけないこともあり、ちょっとややこしいですよね。
「確定拠出年金はやっぱり難しそうだし、退職金があるならやらなくてもいいのでは?」と思ったかもしれません。
しかし冒頭でも述べたとおり、近年は退職金制度を廃止するところが増えています。また廃止とまではいかなくても、退職金の支給率を下げるところも。
今後、退職金が減らされるかもしれないと心配な方は、確定拠出年金の活用も積極的に考えていきましょう。
退職金がない場合
一方で自営業の方や退職金がない企業にお勤めの方は、一刻も早く確定拠出年金を始めることをおすすめします。
というのも、できるだけ早くに加入すると
- 加入期間が長いと長期運用ができる
- 退職所得控除の計算根拠となる加入年数が長くなるので税制上お得になる
というメリットがあるからです。
関連記事:長期で運用した場合のシミュレーション結果
もちろん確定拠出年金の掛け金を拠出することで、家計のやりくりが厳しくなるようなら本末転倒なのでまずは収支の見直しが必要ですが、確定拠出年金というのは退職金がない方ほど有利な制度になっています。
老後2,000万問題もあることですし、今から確定拠出年金を始めたら老後までにいくら用意できそうか?計算してみませんか。
なお、家計屋本舗では確定拠出年金への加入のご相談も承っております。確定拠出年金を始めてみたいけれど、どこに相談したらいいかわからなくて困っているという方はぜひご相談ください。
将来に備えて確定拠出年金を始めよう!
昔は退職金さえもらえたらあとは年金で生活できる時代でしたが、今は違います。
退職金がない方は、現役のうちから老後資金対策が必要です。
また、退職金制度が残っている企業にお勤めの方や公務員の方でも、近年は退職金の支給率が減らされたり、制度そのものを廃止するところも増えており油断なりません。
このような時代ですので、現役のうちから将来に向けてコツコツと資産運用していくことが、明るい老後を迎えられるか?のカギとなっています。
特に確定拠出年金は、非課税で運用を続けながら受け取るときには税制優遇などもあるので使わない手はありませんよね。
もし自分だけで始めるのが難しいようであれば一度、ファイナンシャルプランナーに相談してみませんか?
家計屋本舗では確定拠出年金の加入に関するご相談や運用のアドバイスを行っております。まずはお気軽にお問い合わせください。